内分泌内科について

内分泌内科とは

脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎など、ホルモンを産生する内分泌臓器が障害されることによって、ホルモンの分泌異常が起こる疾患(内分泌疾患)を診療する科が内分泌内科です。
内分泌疾患と一口に言っても、どの臓器の障害なのか、分泌が多いか少ないか、などによって症状は異なってきます。
内分泌疾患は、心臓病や糖尿病、更年期障害、うつ病など、別の病気と間違われることも少なくありません。そのため、内分泌系の疾患でないかどうかを確認するために、一度は専門の検査をお受けになるよう、お勧めいたします。 主な内分泌疾患には、下記のようなものがあります。

ホルモン:体の様々な働きを調節している化学物質で、脳下垂体や甲状腺、副腎などの内分泌腺でつくられます。ホルモンは、体の内外で環境変化が生じても、体の働きを常に同じような状態に保つ役割を果たしています。ホルモンは、多過ぎても少な過ぎても、体内の恒常性が損なわれるため、いろいろな症状・疾患を引き起こしてきます。

甲状腺疾患

甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」(甲状腺軟骨先端)のすぐ下にある、重さ10~20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。蝶が羽根を広げたような形をしていて、右葉と左葉からなり、気管を取り囲むように位置しています。
甲状腺の病気は、女性に多く見られます。ある調査では、健康と思われる40歳以上の成人女性を対象とした健診において、20%程度の高い頻度で何らかの甲状腺疾患が見つかったという報告があります。もちろん男性も甲状腺の病気になり得るのですが、圧倒的に女性のほうが多く、女性の病気と言っても過言ではないでしょう。

甲状腺疾患の症状

甲状腺疾患の症状は、疲れやすい、むくみやすい、便秘がち、冷えなどの症状や、あるいは逆に動悸がする、イライラして落ち着かない、暑がりで汗をかきやすいなど、多くの女性が日々感じている症状が多いものです。
そのため、ご自身の判断で、産後の疲れかなとか、更年期だから仕方がないとか、老いによるものだ、などと諦めてしまっているような方が、実は甲状腺の病気が原因だったというケースがあります。

主な甲状腺の病気

大きく分けると、甲状腺ホルモンの量が変化する病気、甲状腺内に腫瘤(しゅりゅう)ができてくる病気、両者の合併する病気の3つに分けられます。
それぞれについて病名を記しておきます。

甲状腺ホルモンの量が変化する病気

  • 甲状腺機能亢進症:バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など
  • 甲状腺機能低下症:橋本病(慢性甲状腺炎)、粘液水腫、手術後甲状腺機能低下症、アイソトープ治療後など

甲状腺内に腫瘤ができる病気

  • 甲状腺良性腫瘍:腺腫様甲状腺腫、嚢胞、腺腫など
  • 甲状腺悪性腫瘍:甲状腺がん(乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がん)、悪性リンパ腫など

甲状腺にできた腫瘍がホルモンをつくり出し、甲状腺機能亢進を示す病気

  • プランマー病(甲状腺機能性結節)

――上記のような甲状腺の病気は、いずれもきちんと治療すれば治るケースがほとんどです。たとえ悪性腫瘍であっても、ほかのがん、例えば胃がんや肺がんなどと比べてもおとなしいタイプが多いので、悪性という診断が下りても悲観すべきではありません。
また、ホルモンの分泌異常で前記のような症状が出ても、内服薬、アイソトープ(放射線ヨウ素)治療、手術などでしっかり治療すれば、多くは不都合なく生活を送れるようになります。

こんな症状の方はご相談ください

  • 首に腫れがある
  • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
  • 手指が細かく震える
  • 暑がりになり、水をよく飲み、汗をたくさんかく
  • よく食べているのに痩せてきた
  • イライラしやすくなった、落ち着きがなくなった
  • 体が冷え、寒がりになった
  • 肌が乾燥し、カサカサする
  • 体が重く、だるさを感じる
  • 食欲が無いのに太ってきた
  • 朝起きた時に、顔や手がむくんでいる
  • 便秘をしやすくなった
  • 昼間も眠く、居眠りをするようになった
  • 脈がゆっくり、静かになった
  • 月経不順になった

脳下垂体疾患

脳の中の「下垂体」という内分泌器官のホルモン分泌異常によって発症する疾患です。
主な疾患には、「下垂体機能低下症」「先端巨大症」「プロラクチノーマ」などがあります。

下垂体機能低下症

下垂体とは、脳の下にぶら下がるようにしている小さな内分泌器官で、前葉と後葉の2つの部分から成ります。下垂体機能低下症とは、下垂体前葉ホルモンの一部またはすべてが何らかの理由で十分に分泌できなくなった状態です。分泌が低下したホルモンの種類により、症状はそれぞれ異なってきます。治療としては、原因となっている疾患(腫瘍、炎症など)があれば、その治療が行われます。そうした上で、下垂体ホルモン欠乏による症状に対して、欠乏しているホルモンの補充療法が行われます。

先端巨大症

額(ひたい)やあご、手足など体の先端部分が肥大する疾患です。多くのケースで、頭痛や高血圧、糖尿病、いびき、多汗などの症状を伴います。脳下垂体にできる良性の腫瘍により成長ホルモンが過剰に分泌されるのが原因です。治療としては、原因である脳下垂体の腫瘍を取り除く手術が一般的です。開頭せずに行う手術法が確立されており、安全性の高い手術が可能です。腫瘍が大きくて手術が難しい場合や、手術後もまだ血液中の成長ホルモン量が過剰な場合などには、薬物療法や放射線(ガンマナイフなど)による治療を行います。

プロラクチノーマ

下垂体の腫瘍です。下垂体からはいくつものホルモンが産生されており、プロラクチンもその一つです。プロラクチノーマとは、このプロラクチンを産生する細胞が増殖した腫瘍です。この腫瘍ができるとプロラクチンを過剰に産生するため、正常より何倍も多くのプロラクチンが血中にまわり、体の異常が起こります。プロラクチノーマの主な症状は、生理不順、無月経(生理が止まる)、乳汁漏出などです。放置すると、不妊や骨粗しょう症の原因になります。治療には、手術療法と薬物療法の二つがあります。

副腎疾患

腎臓の上にある小さな内分泌臓器である「副腎」のホルモン分泌異常によって発症する疾患です。
主な疾患には、「原発性アルドステロン症」「アジソン病」「褐色細胞種」などがあります。

原発性アルドステロン症

副腎の腫瘍(大半は良性腺腫)や、両側の副腎全体が肥大する過形成によりアルドステロンというホルモンが過剰につくられてしまう病気です。アルドステロンは脱水を防ぎ、血液中の電解質バランスを調整しています。しかし、アルドステロンが過剰になると、尿をつくる臓器である腎臓において、塩分(ナトリウム)が尿に出づらくなって塩分が体内に貯留し、その結果、血液の中に塩分と水分が増加し、その血液を循環させるために、血圧が高くなります。高血圧患者の5~20%を占めると考えられています。治療としては、副腎の腫瘍を取り除く手術や薬物療法が行われます。

アジソン病

アルドステロン、コルチゾールなどのホルモンの分泌が、生体の必要量以下に慢性的に低下した状態です。症状としては、疲労感、筋力低下、筋肉痛、関節痛、嘔吐、腹痛、下痢、発汗、起立性低血圧、精神的な落ち込みなど、様々なものがあります。
治療は、不足するホルモンの補充です。副腎機能の回復は期待できないので、ホルモンの補充療法を生涯にわたって続けることになります。しかし、適切な治療が行われれば、予後は比較的良好で、症状の無い一生を過ごすことが可能です。

褐色細胞種

副腎髄質あるいは脊髄に沿った交感神経節細胞にできる腫瘍です。腫瘍からはカテコールアミンというホルモンが分泌され、このホルモンの作用によって様々な症状が現れてきます。代表的な症状は高血圧、頭痛、発汗過多、代謝亢進、血糖の上昇などです。そのほか、動悸、痩せ、便秘、胸痛、視力障害などが起こることも、しばしばです。腫瘍の摘出が、根本的な治療になります。

内分泌性高血圧

内臓のホルモン分泌異常によって起こるタイプの高血圧です。腎性高血圧(腎臓の病気が元で起こる高血圧)に次いで頻度の高い二次性高血圧症です。
バセドウ病などの甲状腺機能亢進で生じるケースが多いのですが、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など、副腎の病気でも起こってきます。
内分泌性高血圧は、血圧が上昇する原因が明らかであり、原因疾患を根本から治療できれば、完治あるいは軽減させることができます。